EPSON製 [DS-530], [DS-570W], [DS-531], [DS-571W]はカラー読み込みのデフォルト設定が少しドギツイので、自然な色合いになるように調整することを試みました。
もくじ
検討方法
まず、検討に使用するコミックの販売サイトに掲示されているカラー表紙の画像を「色合いが自炊原稿と同じ」である「理想画像」と仮定。
その理想画像のヒストグラムと、DS-530のスキャン設定を様々に変更した際の出力画像のヒストグラムを比較して、ヒストグラムが理想画像のものに最も近くなる時のスキャン設定を自然な色合いを持つ一番いい感じのパラメータと考えました。
使用したコミックはこちらです。
理想画像と仮定した画像は、こちらの販売サイトからいただきました。
https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000344937
ヒストグラムはImageJを使って作成しました。ヒストグラムは上部タブ[Analyze]→[Histogram]で表示できます。
カラー画像はRとGとBの3つの値を持ちます。今回は検討を簡便にするために、8-bitグレースケールに変換した時の値である「Intensity(unweighted)」を用いてヒストグラムを比較しました。
DS-530のスキャン設定は、「Epson Scan2」を用いて変更しました。「明るさ、コントラスト、ガンマ」の3つのパラメータをいじりました。
コミックを600dpiでスキャンし、理想画像のサイズ(600×853)に合わせて縮小することで、ヒストグラムの度数の総和をだいたい同じぐらいにしました。
結果
① ヒストグラム
ちなみにパラメータ変更によるヒストグラムへの影響は
・明るさ変更 → ヒストグラム 横に並行移動
・ガンマ変更 → わかりにくいけど、ガンマ↑で低〜中ぐらいの信号が高信号側にシフト
という感じでした。
② 画像
以上より、自然な色合いのための一番いい感じのパラメータは
明るさ:25
コントラスト:-30
ガンマ:2.7
ぐらいだと考えられます。
おまけ
① これをふまえて実際に使用しているパラメータは?
ヒストグラム比較で、なんとなく良い感じのパラメータは見つけたのですが、じゃあこのパラメータを使わなきゃいけないのかというと、勿論そんなことはありません。
結局はその人の好みです。
私の場合、少しパキッとさせて、黒っぽい部分はより黒っぽくなっている方が好きなので、使用しているパラメータは
明るさ:25
コントラスト:-20
ガンマ:2.6
です。
② プレビュー機能のワナ
DS-530には「お試しで1枚だけ原稿をスキャンしプレビュー画像として表示させ、パラメータの変更による画像の変化をダイレクトに確認出来る」という、なかなか良さげな機能があります。
しかし騙されてはいけません!実はこのプレビュー機能にはとんでもないワナが隠されています。
プレビュー画像が表示され、スキャンパラメータによる影響が確認できる状態では、なんと「背景除去」という処理が勝手にONになります!
「背景除去」は紙質のザラザラ感を白く飛ばすような処理らしく、「背景処理」をONにすると画像は全体的に明るくなります。
つまり、プレビュー機能を使いながら「明るく自然で良い感じの画像」に調整したとしても、プレビュー画像を閉じると「背景処理」がOFFに戻ってしまうため、また「暗くてコントラストバッキバキ」の画像に戻ってしまうのです。
なんですが、悩ましいことに「背景除去」自体はなかなか優れもので、デフォルト設定の上で「背景除去」をONにするだけで、今回検討した「原稿に近い自然な色合い」をおおよそ達成できます。
もしかすると、EPSON的には「背景除去ONは普通にデフォっしょ!」な感覚なのでしょうか。
問題点としては
① マニュアルにも「プレビュー機能を使っている間だけ背景除去がONになる」という記載が無い。
② 背景除去が強制ONになっているのに、「拡張設定」の「背景除去」の項目にはチェックがされないまま。
③ そもそも「背景除去」は入れたい人が入れる処理だと思うので、強制ONにしなくていいのでは。
④ 「背景除去」処理が内部的にどんな処理をしているのかわからない。明るさ・コントラスト・ガンマの調整と同等の処理だけで、フィルタがけなど他の処理をしていないのだったら普通に使いやすそう。
このあたりでしょうか。プレビュー自体はすごく使える機能なので、EPSONさんにはなにかしら対応をご検討いただきたいと思います。
まとめ
① 自然な色合いパラメータは「明るさ:25、コントラスト:-30、ガンマ:2.7」
② 実際に使っているパラメータは「明るさ:25、コントラスト:-20、ガンマ:2.6」
③ プレビュー機能の使い方に注意!
おしまい
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