以前掲載した記事で、オススメの自炊スキャナとしてEPSON社製ドキュメントスキャナ「DS-530」「DS-570W(wi-fi接続モデル)」を紹介しました。
この装置の良さは「自由な絵作りとコスパの良さ」なのですが、初期の画質パラメータが微妙なので、使ってみて「アレ、なんか思ってたのと違う...」と思う方もいるかと思います。
しかしユーザ数が少ないためか設定変更のための情報がネット上で拾いづらく、手探り状態でパラメータをアレコレ変えなければならないのが辛いところです。
それはそれで楽しい部分でもあるし、好みによって多種多様なのはわかるのですが、正直なところ「私はこう使っている!」というカンペが欲しいのです。
そこでこの記事では、私yu3xxの場合の「私はこう使っている!」というカンペを勝手に紹介しつつ、パラメータの意味もわかる範囲でやんわり解説していこうと思います。
もくじ
- EpsonScan2 パラメータ設定画像
- 読み取り装置
- 読み取り面
- 原稿サイズ
- イメージタイプ
- 解像度
- 張り合わせ
- 回転
- 書類の傾き補正
- 白紙ページ除去
- 重送検知
- 保存形式
- 保存ファイル名
- <拡張設定に切り替え>
- イメージオプション
- 明るさ、コントラスト、ガンマ(グレースケール)
- 明るさ、コントラスト、ガンマ(グレースケール、コントラスト控えめ)
- 明るさ、コントラスト、ガンマ(カラー読み取り)
- その他パラメータ
EpsonScan2 パラメータ設定画像
ソフトウェアは動作が軽快なEpsonScan2を使用しています。
背景が真っ白で、白黒パキッとした画質が好みなので、パラメータはこんな感じ。
(PNG400dpiグレースケールの場合)
基本設定と拡張設定
以下の赤字部分が設定したパラメータです。
読み取り装置
・ADF(おーとどきゅめんとふぃーだ の略らしいです)
・「原稿待ち受けモード」に チェック
原稿をスキャンし終わった後、次の原稿をセットすると自動でスキャンが始まるモードになります。かならずON!
読み取り面
・「両面」
・設定 → とじ位置 → 「上」
「読み取り面」の中の、「片面」「両面」の下に隠れている「設定」の項目で、「とじ位置」の変更が出来ます。EpsonScan2のパラメータ設定は大きく分けて2画面でまとまっているので使いやすいのですが、「とじ位置」もけっこう大事な項目なので、オモテ側に出してくれたらわかりやすいのになぁと思います。
デフォルトではとじ位置は「左」です。
「上」に変更することで、スキャン時間短縮を目的とした原稿の横向きセットが可能になります。
あとで出てくる「回転」→「270°」とセットで設定します。
原稿サイズ
・自動検知
・設定 → 切り出し位置調整 → 「-1.0」mm
スキャンしたデータ領域の、はしっこ部分(紙部分との境界)をどう自動切り出しするか、です。デフォルトの0mmのままだと境界が白く残ってしまいます。あまり小さく切り出すと絵が見切れてしまうので、無難なところで「-1.0mm」にしています。
イメージタイプ
・(ここでは)グレー
解像度
・(ここでは)400 dpi
400dpi読み取りは、600dpiで読み取りしたデータをソフトウェア側で変換しているようです。
張り合わせ
・なし
左右or上下の見開きを作る場合はここ。
回転
・270°
横向き原稿セット(時短)の設定です。270°にすると、「向かって右側に原稿のてっぺん」です。横向きセットは400dpi・600dpiスキャン(低速スキャン)や、2回スキャンにより時間が倍増してしまう裏向きスキャン統合法ではマストだと思います。
書類の傾き補正
・給紙時の傾き
あまり変に補正を入れたくないので、「給紙時の傾き」のみ。
白紙ページ除去
・ なし
誤認識がイヤなので「なし」。「あり」の場合、設定から感度を変えられるようです。
重送検知
・あり
超音波検知が無難。
保存形式
・PNG
JPEGの場合、「詳細設定」から品質を設定できます。オススメは90。
保存ファイル名
・おこのみで
基本的に「作品名_巻数_連番4ケタ」で設定しています。
<拡張設定に切り替え>
ここからが画質調整(絵作り)のキモの部分です。
イメージオプション
・なし
特に必要性を感じないので「なし」。
明るさ、コントラスト、ガンマ(グレースケール)
・明るさ0、コントラスト15、ガンマ2.2
◆明るさ:画像全体のピクセル値持ち上げ(値を大きくすると、明るくなる)。デフォルト0。
◆コントラスト:明るい部分(白)と暗い部分(黒)の明暗差(値を大きくすると、白黒パキっとなる)。デフォルト0。
◆ガンマ:中間域の信号持ち上げ(値を大きくすると、中間域が明るくなる)。デフォルト2.2。
ガンマの理解が難しいところですが、8bit(0〜255)の場合の一般的なガンマ補正は以下の式で行われます。
y = 255(x/255)^(1/γ)
y=ガンマ補正後のピクセル値
x=ガンマ補正前のピクセル値
γ=ガンマ補正値
DS-530内で同じ補正処理がされているかどうかはわかりませんが、こんなイメージで良いと思います。
「明るさ0、コントラスト15、ガンマ2.2」(以下で"ハイコン"と呼びます)は実際の画像だとこんな感じです。
拡大すると
画像引用:峰浪りょう, 少年のアビス, 単行本第1巻, 86ページ,集英社, 2020
デフォルトだと紙質のザラザラ感が残ってしまうので、少しコントラストを高めてザラザラを白く飛ばし、白黒パキッとさせています。
基本的に、漫画はこの「明るさ0、コントラスト15、ガンマ2.2」でスキャンしています。
例外もあるので、次で紹介します。
明るさ、コントラスト、ガンマ(グレースケール、コントラスト控えめ)
原稿で「薄めのスクリーントーン」を使っている場合、さきほどの「明るさ0、コントラスト15、ガンマ2.2」だとコントラストがきつすぎて白く飛び、トーンが見えづらくなってしまいます。
それを回避するために、コントラストを抑えた設定にすることがあります。
コントラスト控えめ設定
「明るさ0、コントラスト10、ガンマ2.1」
拡大すると
画像引用:福田晋一, その着せ替え人形は恋をする, 単行本第5巻, 121ページ,スクウェア・エニックス, 2020
おわかりいただけただろうか。
そうです。ヒザです。このような薄いスクリーントーンはラブコメなんかでよく見かける、大事なアクセントだと思います。
興味のない方には残念ながら理解してもらえないレベルですが、こういうところで無駄にこだわるのが自炊の楽しいところですね。
明るさ、コントラスト、ガンマ(カラー読み取り)
カラーの場合はデフォルトです。
・明るさ0、コントラスト0、ガンマ2.2
カラーは調整が難しい部分だと思います。以前使用していたScansnap ix500のデータと比べると、DS-530デフォルトは少しコントラストがキツすぎるように感じますが、発色が良くて見やすいような気もします。パラメータを考えるのも大変なので「まぁいいか」ということでそのまま使用しています。
デフォルト設定の問題として、淡い水色や淡い黄色が真っ白に読み取られる(コントラストが強すぎる?)ことがあるので、その時は「明るさ5、コントラスト-3、ガンマ1.8」なんかにしたりもします。スキャン後、気に入らなければさらに微調整・再スキャンすることもあります。わりとその時次第で適当な部分です。
2021.03.13追記 重たい腰をやっと上げ、カラー読み取りのおすすめパラメータについて検討してみました!
その他パラメータ
疲れてきたので、残りはまとめてさらっと流しましょう。
◆アンシャープマスク
・なし
ボケマスク処理ともいいます。輪郭部分の鮮鋭化。
◆モアレ除去
・なし
DS-530のカラー読み取りで、モアレ(原稿にはない縞模様)が出ることがあります。というか基本出ます。この対策として使う目的で実装されている処理なのだと思いますがスムージングが強くて正直イマイチなので、高解像度でスキャンしてからImageJでリサイズする方法をオススメします。
◆フチ消し
・なし
データの読み取り境界部に、白もしくは黒のフチをつける処理。
◆パンチ穴除去
・なし
漫画自炊には使わなそうです。
おしまい。
DS-530の消耗交換品など、あると便利なオススメグッズの記事はこちら!
DS-530, DS-570Wに新機能(原稿保護機能:ホチキスの巻き込み検知・スキャン停止)を搭載したマイナーチェンジモデル(DS-531, DS-571W)が2020年11月に発売されるようです。いまのところ価格も大きくは変わらないようです。
⭐️おまけ⭐️
〜ImageJとの絡み〜
本ブログでは無料画像処理ソフトのImageJを使った「自炊漫画用の画像処理マクロ」を紹介しています。
エプソンDS-530を使用した場合、明るさやコントラストは既に調整済みということになるので、ImageJマクロの使い道としては、
・解像度の変更
・ノンブル領域のカット
・裏向きスキャン統合法(紙粉による縦線ノイズの発生を抑える)
・縦線ノイズ自動検知・除去
・表紙カバーのトリミング
・自動フォルダ生成+ファイル収納
このあたりがメインになります。Windows・MacどちらでもOKです。下にある記事一覧から色々コピペして使ってみてください!